IoTに必要な考え方

**展示会でみたIoTとDX

夏頃、展示会でIoT関連のブースをいくつか回りましたが、目に入ってきたのは大規模で多額の投資を前提としたものばかりでした。
どうも日本では、「IoT」や「DX」という言葉だけが先行し、その実態や本来の姿を取り違えているように感じます。一方、海外の事例を見ていると、PLCのデータをESP32などの小型マイコンで読み取り、Wi-Fi経由でクラウドへ送信するといった、よりシンプルな構成が増えてきている印象があります。

ESP32自体は1,000円台で入手でき、必要なコストも主に次の4点に集約されます。

  • PLCとESP32の通信
  • PLCでのデータの整理
  • ESP32のコード
  • クラウドで受け取り

少なくとも、最初から大規模な設備投資が必須というものではない、というのが私の認識です。
現状でややハードルが高いのはPLCとESP32の通信部分ですが、海外の動向を見ていると、今後は中継用の仕組みや、PLC連携に特化したESP32系デバイスが登場してくる可能性も高いのではないかと感じています。

**IoTはいったいなんのために導入するのか?

IoTは、経営者が現場を監視するためのものではなく、現場の人間が「次に何をすべきか」を判断するための道具であるべきだと思います。
例えば、某大手の出荷倉庫では、タブレットを持った監視役が作業効率について細かく指摘することで、作業者から煙たがられている、という話を聞いたことがあります。また、大手自動車工場でも、似たような光景を目にしたことがあります。
このような状態では、現場のモチベーションが下がるだけでなく、結果として離職率を高めてしまう恐れがあります。IoTやDXを導入したはずが、人手不足を助長してしまう――そんな本末転倒な結果にもなりかねません。

**IoTはシンプルで低コストではじめなくてはいけないのではないですか?

IoTとは、ラズパイやマイコンを使って情報を取得し、それを見える形にする。
まずは、それだけのものだと考えてよいのではないでしょうか。生産量や稼働率をはじめ、必要に応じて温度・湿度・照度などを取得し、作業者が効率を上げるための判断材料を提供する。それがIoTの役割だと思います。かつての日本では、熟練作業者の経験や勘によって成り立っていた現場が多くありました。IoTの本来の目的は、そうしたノウハウを可視化し、若手や経験の浅い人でも一定のレベルで仕事ができるようにすることではないでしょうか。

**温度を取得して表示するために必要な費用は1万円以下です。

写真に示す例は、温度センサーで気温と湿度を取得して、LCDにその数値を表示するだけです。
農業などでよくみられるもので、実際にはこれに光度や土の状態なども含めた情報を取得して、データベース化してゆくものです。そして、必要なものはすべて足してもおそらく1万円以下で揃えることができます。

「本当に必要な情報はなにか?」

生産現場であれば、生産数や稼働率だったりするのではないでしょうか?を考えることがIoTに取り組むためのはじめの第一歩になるはずです。


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